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市場とは何か

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辞書によれば、市場(しじょう)とは「商品としての財貨やサービスが交換され、売買される場についての抽象的な概念」(大辞林)である。
世の中が考える市場とは、「顧客は商品を買う」を前提として考えられた「商品が売買される場」なのだ。

しかし、市場も、本質的に「顧客は(商品ではなく)商品価値を買う」を前提として考えなければならない(「商品価値とは何か」参照)。

「顧客は商品を買う」を前提として考える市場が「商品が売買される場」であることにならえば、「顧客は商品価値を買う」を前提として考える市場は、「商品価値が売買される場」である。
そして、商品価値は、顧客の頭の中にしか生まれない。

ならば、「商品価値が売買される場」は、「顧客の頭(の集まり)」でしかあり得ない。
要するに、市場とは「顧客の頭」なのである。

では、市場占有率とは何なのか。
答えは単純明快だ。
市場が顧客の頭である以上、市場占有率とは「顧客の頭の占有率」である。

人は、いま記憶したばかりの事物も含め、事物の記憶を再生させる、すなわち事物を思うことで、事物が生む価値を感じる。
そして、総じて、生む価値がより高い事物をより長く思う。

ゆえに、事物の価値の大きさは、事物を思う時間で表すことができる。
同様に、商品価値の大きさは、商品を思う時間で表すことができる。

よって、顧客の頭の占有率は、顧客が事物を思う時間の内、特定の商品を思う時間が占める割合として表すことができる。
一般的に、人が何かを多く思うとき「〇〇(思う対象)が頭を占める」と言うことからしても、そう考えてよさそうだ。

だから、市場占有率を上げるということは、顧客が事物を思う時間の内、特定の商品を思う時間が占める割合を上げるということに他ならない。
つまり、ビジネスにおける競争とは、顧客が事物を思う時間の奪い合いであることになる。

本質的に、ビジネスにおける競争とは、顧客の頭の奪い合いなのだ。
そして、理論上、最大の市場占有率を実現するということは、全人類の頭を特定商品のことで一杯にするということになる。

ところが、である。
世の中が考える市場占有率は、「顧客は商品価値を買う」を前提とするものだ。
通常、市場占有率と言えば、ある商品カテゴリーの内、特定商品の売上高や販売台数が占める割合である。
これは、「顧客の頭の占有率」から程遠い。

世の中は、まだまだ本質から程遠いところにいるのである。

⑥ 市場とは何か

Good? or Not Good?

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