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物(モノ)とは何か

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辞書によれば、「物(モノ)」とは「形のある物体・物品」である(精選版日本国語大辞典)。

厳密には「形」が実は認識の属性であること(「形とは何か」参照)は置くとして、形のない物体・物品は存在しないだろうから、これは「物体」と単純化できる。

そして、同じ辞書に、物体とは「具体的な形をもって存在しているもの。物質が集合してある形体をなしている物」とある。

具体的ではない(抽象的な)形は現実には存在しないだろうから、「具体的な形」は単に「形」でいい。
「形体」も「形」であろうし、形のない物質は存在しないだろう。
物質の集合体も一般的には物質と呼ぶ。
だから、これは要するに「物質」である。

ちなみに、「物体」の定義の語尾は、「存在」の意味で「もの」ならいいが、「物」ではさすがにまずい。

要するに、辞書が言う「物」とは「物体」であり「物質」なのだ。これでは単なる言い換えの域を出ない。
よって、ここでは、辞書は「物」を「形あるもの」と定義していると捉えよう。

しかし、厳密には、「形」は、「物」を対象とする、「範囲」という認識の属性である。
「形あるもの」ではなく「形を伴って認識されるもの」が正しい。

それに、そもそも、「物」を対象とする認識の属性でがなく、「物」自体の属性で定義したい。

そこで、同じ辞書で「物質」を見ると、「空間の一部を占め、質量をもつもの」とある。
「形」ではなく「空間の一部を占める」と「質量」という新たな視点が出てきたことになる。

そして、「質量」とは下記のものとある。
「物体が有する固有の量。物体の慣性はこれが大きいほど大きく、その意味で物体に働く力とそれによって生じる加速度との比を慣性質量という。また、これが大きいほどそれに働く重力は大きく、その意味で地上の任意の点で物体に働く重力とそれによって生じる重力加速度との比を重力質量という。相対論によって両者は一致することが証明されている。相対論によれば質量はエネルギーの一形態で、物体の速さが光速度に近づくとともに増加する。」

「質量」は「物」自体の属性に違いない。
しかし、これでは複雑過ぎて一般的な定義には使いづらい。

他方、「空間の一部を占める」は、「物質」だけの属性とは言い切れない。
この世の「物(モノ)」ではない存在である「事(コト)」も「空間の一部を占める」存在と言えなくもない。

例えば、「川」という「物(モノ)」は、「空間の一部を占める」存在である。
同様に、「川」という「物(モノ)」が生む「川の流れ」という「事(コト)」は、「空間の一部を占める」存在であると言える。

では、どう考えるべきか。
いつものように、ここでも物理学の「万物の理論」から導出した「この世は、事物とその間の相互作用(作用と、反応という作用)という事物でできている」という考え方に従おう。

すると、この世には「作用を生む事物」と「作用という事物」があることになる。
そして、その内の「作用を生む事物」は、「物」すべてに当てはまり、他の存在すべてに当てはまらない。

ならば、「物」とは「作用を生む事物」であることになる。
しかし、「物」と「事物」は意味が重複してしまうから、「事物」ではなく「存在」のほうがいい。

したがって、「物」とは「作用を生む存在」である。
これが結論だ。

Good? or Not Good?

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