辞書によると、思考とは「考えること。経験や知識をもとにあれこれと頭を働かせること」である(デジタル大辞泉)。
しかし、「考えること」は思考の言い換えでしかない。
「経験や知識をもとに」は限定的である。想像をもとにする思考もある。
言葉の定義に「あれこれと」のような表現を使うのは適切ではない。
「頭を働かせること」も思考の言い換えでしかない。
肝心なのは「頭をどう働かせることなのか」なのだが、これではそこがまったく分からない。
世の中は、思考とは何かを分かっていないのだ。
では、思考とは何なのか。
思考はプロセスである。
あらゆるプロセスにインプットとアウトプットがあるように、思考にもインプットとアウトプットがある。
思考のインプットは認識か想像であり、アウトプットも認識か想像である。
認識は、要素である認識から成るネットワーク構造を持つ。
構造の視点で見ると、認識は「(要素である)認識の関係」である(「認識とは何か」参照)。
想像は、要素である想像や認識から成るネットワーク構造を持つ(「想像とは何か」参照)。
構造の視点で見ると、想像は「(要素である)想像や認識の関係」である。
そして、通常、思考は、インプットである認識や想像とは異なる認識や想像をアウトプットする。
つまり、思考は、インプットである認識や想像の関係とは異なる認識や想像の関係をアウトプットする。
ならば、思考は、認識や想像の関係を加えたり、なくしたり、変更したりすることであることになる。
しかし、関係をなくすことは、「(ある意味で)関係ない」という関係を加えることである。
関係を変更することは、ある関係をなくして別の関係を加えることと同じである。
つまり、思考は、認識や想像に関係を加えること、すなわち、認識や想像を関係づけることなのだ。
このことは、インプットとアウトプットが同じ場合でも、関係を加えたり、なくしたり、変更したりした結果、同じになったと考えられるから、成立する。
ただし、関係とは認識と想像に特有のものである(「関係とは何か」参照)。
それを言わずもがなの前提とすれば、認識や想像を関係づけることは、単に「関係づけること」でいい。
そして、「関係づける」は「思考全てに共通し、他の事物すべてに共通しない属性」、すなわち思考の本質だ(「本質とは何か」参照)。
よって、思考とは「関係づけること」である。
ちなみに、私が世の中に提供している研修によって得られた経験によればだが、思考は「関係づけること」と意識するだけで、子供の思考力は2割~3割アップするようである。
アップ度は子供ほどではないが、大人も思考力がアップする。
思考は「関係づけること」と意識する。
是非、ご自身と、お子さんがおられる方はお子さんに、お試しあれ。
(お子さんが小さい子の場合は、「頭の中で繋ぐこと」と言ってあげるのがおすすめです)