辞書によれば、カテゴリーとは「同じ性質のものが属すべき範囲、部門。範疇」である(日本国語大辞典)。
「部門」は「範囲」の言い換えだろうから、捨象する。
「範疇」はカテゴリーの言い換えだろうから、捨象する。
すると、カテゴリーとは「同じ性質のものが属すべき範囲」となる。
これは、一般的に言う「カテゴリー」を意味するものと言える。
しかし、「同じ性質のもの」とは何なのか。
例えば、すべてのネコが個別に存在するように、この世の事物は、すべてが個別に存在する。
ネコの中にまったく同じ性質のものはないように、事物の中にまったく同じ性質のものはない。
あるのは、「共通する性質を持つもの」である。
つまり、「同じ性質のもの」とは「共通する性質を持つもの」のことなのだ。
ゆえに、「同じ性質のものが属すべき範囲」とは「共通する性質を持つものが属すべき範囲」である。
そして、精密に言えば、「共通する性質を持つものの範囲」とは、「ある事物すべてに共通し、他の事物すべてに共通しない性質を持つ事物の範囲」である。
また、「ある事物すべてに共通し、他の事物すべてに共通しない性質を持つ事物」とは、ある事物を表す「概念」に他ならない(「概念とは何か」参照)。
よって、単純化すれば、カテゴリーとは「概念の範囲」であることになる。
認識には「範囲」が付きものであるから、わざわざ「範囲」と言わなくても「範囲」を意味し得ると考えて、もっと単純化すれば、カテゴリーとは「概念」であることになる。
したがって、カテゴリーとは「概念(の範囲)」である。
これが結論だ。
なお、上記の辞書には、カテゴリーとは下記のものとも記されている。
「哲学で、アリストテレス以来の用語。事物を分類する際、もはやそれ以上に分けることのできない、最も根本的、一般的な基本概念(属性、量、状態、関係等)。最高の類概念。範疇(はんちゅう)。」
しかし、今の世の中では「最も根本的、一般的な基本概念」だけをカテゴリーとは考えない。それらを分類したものもサブカテゴリーというカテゴリーである。
その点において、アリストテレスの考え方はもはや有効ではない。
ただし、何が「最も根本的、一般的な基本概念」に当たるのか、すなわち、根本的なカテゴリーとは何かは、今でも解明すべき謎である。
よく知られるように、アリストテレスは、下記の「10のカテゴリー」と呼ばれるものを提唱した。
・実体
・量
・質
・関係
・場所
・時間
・位置
・所有
・能動
・受動
これは、思考力(抽象的思考能力)を鍛えるのに最高のテーマである。
答えが出なくてもかまわない。
本記事を読んだすべての方に、是非、挑戦してみていただきたい。
かく言う私も、50年ほど挑戦中。
いまだ確信を持てる答えに至らず、である。